ディジタル・イメージ1999東京展報告書

・開催概要(会期/場所/協賛・協力各社/出展者/来場者数)
・東京展について
  アンケート回答分析
・展覧会を何で知ったか?
・来場者層の分布(年令/職業/学校別)
・来場者のコメント(会場/展示全般/設営/その他)


■ディジタル・イメージ1999東京展概要
東京展1 4月29日(木)〜5月5日(水)11時〜19時
  銀座ワシントンアート
東京都中央区銀座5-7-7 銀座ワシントン7F 03-3571-8532(会期中)
東京展2 4月28日(水)〜5月5日(水)10時30分〜19時 
表参道・新潟館ネスパス
東京都渋谷区神宮前4-11-7 03-5771-7711(代表)
 

 
銀座会場/撮影:松本明彦
 
主催 ディジタル・イメージ
特別協賛 銀座ワシントン 
    (財)ニューにいがた振興機構 表参道・新潟館ネスパス
協賛
アップルコンピュータ株式会社 株式会社イマージュ 株式会社インプレス エプソン販売株式会社 NTTソフトウェア株式会社 株式会社シーシーエー 株式会社シフカ 株式会社スプーン デジタルハリウッド株式会社 株式会社リクルートコンピュータパブリシング マイクロソフト株式会社 株式会社ワコム

協力
有限会社白馬 パワーズジャパン 株式会社富士通ゼネラル 菱洋エレクトロ株式会社 株式会社ケー・ブラッシュ商会 日本電子専門学校/3D plus

■銀座ワシントン会場参加者(99人)
赤阪季与子 阿部知弘 雨宮由里子 アライマサト 荒木慎司 安齋順子 安斎利洋 安藤克昌 飯田HAL 井沢洋二 イシグロマサハル 石原博志 市川祐司 伊藤範蔵 井上和洋 岩渕泰治上畠益雄 榎並憲二 大賀葉子 大場康雄 岡部タカノブ 加藤俊明 叶雅生 亀井一郎 上口睦人川越幸子 川本O.規子 木村智博 公庄治 国島宣弘 久納ヒロシ 楜沢順 小泉麻友美 小澤貴也 後藤宏 小森修 小松修 斎藤浩 酒井和男 鷺義勝 清水宏美 菅原明彦 杉谷泰宏鈴木守 成光雄 高根寿明 高橋晋 高橋信雄 滝澤謙司 滝谷真樹 武田瑛夢 竹久マサオ 駄場真弓 近澤由美子 杖村さえ子 トミオカサトシ 中井勝郎 永井領 中川佳子 中澤愛美 中村浩二 中村理恵子 中山嗣朗 韮沢薫 服部幸平 花山由理 林ノブ 樋口陽介 一入正記 福間晴耕 星沢順子 松昭教 松永順 松原英二 松原浩司 松本明彦 三河一郎 溝川英男 南光英 三宅章介 六浦丈雄 武藤修 村上佳明 目黒詔子 望月澄人 本吉なおこ 森野和馬 安井千博 山田博久 山田真屋 山本健介 山本里士 山本ゆり子 弓田純大 横井由美子 横山弥生 吉井宏 吉田光治 Rey.hori

■表参道ネスパス会場参加者(32組33人)
石川浩二 梅地浩太郎 小笠原たけし 叶精作 川口吾妻 北古賀紀行 喜多見康 倉島正彦 桑島幸男 小坂達哉 小谷光彦 笹原和也 柴田敏明 柴山信広 ソネハチ 多賀泰孝 駄場寛 出渕亮一朗 所幸則 中川潤 中野博文 橋本聡 服部正志 羽田宗春 樋口誠 檜山巽 MASANTA  御竿佐知 ミヤケシゲル 村松ルイ ラジカル鈴木 安斎利洋+中村理恵子
 

■入場者数 銀座会場  約3700名
表参道会場 約3100名
合計    約6800名(1998年は5247名)

銀座会場/撮影:松本明彦
■東京展、初めて2会場同時開催
 東京展は結成以来ずっと銀座のワシントンアートの支援で開催しており、ゴールデンウィークの銀座名物としても定着しています。ただ、参加アーティストが50名を超えたあたりから、毎年これが限界だというくらい過密したレイアウトで展示を続けてきました。今年はとうとう結成当時の5倍、約150名となり作品は300点が予想され、もはや満杯というときに財団法人ニューにいがた振興機構 表参道・新潟館ネスパスの協力を得て、2会場同時期開催というすばらしい展示が実現しました。
 
 
表参道会場
 
 表参道と銀座と、作品をどう振り分けるかという、むずかしくも楽しい展示設計を行なった結果、銀座ワシントン会場は従来通りの静止画中心で、出力サイズは作家任せの展示とし、ひとりあたりの展示面積を制限しました。結局、99人の作家が参加しました。表参道ネスパス会場は、おもに出力サイズをB1に統一できる作品の展示と、キャラクター系、美少女系の作品および大型シリーズ作品などの展示とし、銀座ワシントン会場との差別化をはかりました。32組33人の参加でした。

 特別企画として、ネスパスとワシントンアートの2会場を観覧した人には特製のポストカードセットをプレゼントし好評を得ました。ただ、アンケートの回答を見ると、2会場に分離したことには賛成と反対の意見が相半ばでした。地下鉄銀座線で1本の便利なルートでしたが、2会場回るのはたいへんだという声はけっこうありました。運営する側としても、両会場の受付の手配をはじめ負担はかなり感じました。2会場に分離したことにより、1会場では収まりきれない作品数をなんとか収容するという問題はクリアできましたが、同時期に2会場の運営については今後の課題となるでしょう。

 大阪会場(大阪府立現代美術センター)では毎回セミナーをおこなっていますが、東京ではスペースの都合で開かれていませんでした。今回は、新潟館ネスパス3階の会場を借りて、5月1日に初めてのセミナーを開催しました。テーマは「なぜポリゴン美少女なのか?」というもので、いまトレンドになっている3DCGによる美少女の制作について、5人の作家を招いて座談会をおこないました。ここは約100人を収容できる会場でしたが、満員立ち見も出るという盛況でした。
 


美少女CGセミナー
 

表参道会場
 
 展覧会広報活動は、従来とおり情報雑誌「ぴあ」をはじめ、ディジタル関連の雑誌に資料を送ったほか、インターネットも積極的に活用しました。ディジタル・イメージの公式サイト以外にも、多くの会員作家が自分で開いているホームページに掲載され、さらにいくつかのWebサイト、メールマガジンなどで紹介されました。デジタルアート系の大学、専門学校にもDMを配布しました。

 アンケートの回答をみますと、友人知人からの情報により展覧会を知ったというのがもっとも多く、次いで学校の告知、会員作家からのDMとなっています。観客の男女比の集計はありませんが、観測ではだいたい男6女4という構成で、とくに男女の差はないと感じられます。年齢は20代前半がもっとも多く、職業は学生や会社員が多いようです。

■アンケート回答分析 762枚
●この展覧会を何で知りましたか?
雑誌 86(ぴあ14、MdN19 、DTP WORLD2、日経CG3、AGOSTO3、グラフィックワールド3、CG WORLD3、SPA、DG、ほか)
インターネット 70(日刊デジクリ20、スタジオMOMO5、Apple News2ほか)

出展作家からのDM- 92
DI事務局からのDM 20
ワシントンからのDM 30
ネスパスからのDM 16
友人知人からの情報 219

学校の告知 139(tokyo net wave14、デジタルハリウッド15、都立工芸高校35、東京デザイナー学院15、東京ビジュアルアーツ3、日本工学院2、トキワ松学園横浜美術短大5、岩崎ファッション工科専門学校4、東京コミュニケーションアーツ5、茨城大学11、日本電子専門学校3、武蔵野美術大学2、宇都宮デザイン専門学校4、ヒューマンアカデミー3、ほか)

通りがかり ワシントン 17
通りがかり ネスパス 57

そのほか 16(毎年この時期にあるのを知っている)

●年齢分布
10代 128
20代 385
30代 121
40代 39
50代 27
60代 8
70代 2
無回答 52
●職業
学生 168
会社員 190
デザイン関係 108
公務員 14
イラストレーター 6
フリーター 49
無職 42
無回答 73
その他 112
●学校別
都立工芸高校 20
デジタルハリウッド 17
東京デザイナー学院 15
茨城大学 13
日本電子専門学校 12
東京ビジュアルアーツ 9
横浜デジタルアーツ 6
東京造形大学 5
武蔵野美術大学 5
日本大学芸術学部 5
宇都宮デザイン電子専門学校 5
東京工芸大学 5
町田デザイン専門学校  4
トキワ松学園横浜美術短期大学 3
岩崎ファッション工科専門学校 3
多摩美術大学 3
日本デザイナー学院 3
女子美術大学 3
日本工学院専門学校 3

以下--2
アミューズメントメディア総合学院、日本大学、東京工業大学、ヒューマンアカデミー、中央大学、駒沢大学、三輪田学園高校、お茶の水技術専門学校、東京工業専門学校

以下--1
東京ミュージック&メディアアーツ尚美、図書館情報大学、明治大学、国学院大学、、東京工業大学付属高校、早稲田大学、文教大学、刈谷高校、桜丘女子高校、駿台学園高校、立教大学、弥栄東高校、法政大学女子高校、聖望学園、晃華学園小学校、横浜国立大学、 昭和女子大学、バンタン電脳情報学院、東京バイオテクノロジー、東葛飾高校、岡山県立大学、、山脇美術、スコットロスデジタルスクール、千代田工科芸術、デジタル東京、東京コミュニケーションアート、東京医科技術、、昭和女子大学、お茶の水訓練、東京女子、共立女子、中央美術学園、東京福祉専門、東大付属中学、東京マルチメディア

不明2


■アンケート回答から
(会場)
・展示数もほどよく、2会場にわけて正解。ただし会場が離れすぎている。
・新潟館と銀座会場でやはりスペースの差か、新潟館の方がゆとりがあり見やすかった。
・近いほうがいい。
・1カ所でまとめてやって欲しかった。
・昨年より明るくなっていい感じ。

(展示全般)
・場所が狭いので視覚的に疲れるが、色々な作風の作品が一度に見られて面白い。内容は濃い。
・作者のプロフィールを作品の横につけてほしい。
・それぞれの作品についての制作環境や制作課程、意図など説明を書いてほしい。(制作風景なども見たい)
・作品の間隔をもっととってほしかった。
・作品をもう少し増やしてほしい。
・多くの作品があり見ごたえがあった。
・良い感じ。ジャンルミックス、アニメ、ゲームからアート、工業でザイン、幅広く何でも扱ってください。見るほうはうれしい。
・『芸術作品』と堅苦しくなってしまわず、いつまでも『何でもあり』的な雰囲気であってほしい。
・絵だけではなく動画が見られるものをもっと多くしてほしかった。
・一定のテーマでの作品展も見たい。
・物語を想定して絵を作ると面白いと思う。
・有名作家の作品が見られてよかった。
・ひとつひとつの作品の実際の使われ方(雑誌やパソコン上)で作品を見てみたいと思った。
 パネルに貼り込んだり、額装するのではなく、そういう展示もあるのではないか? ・デジタルフォトの展示を加えてほしい。
・作品をひとり数点にしてほしい。

(設営等)
・銀座会場の迷路の感じがとてもよかった。
・とても見やすかった。
・展示方法が少し冷たい。
・ある程度のジャンル分けがあったほうが見やすい。
・もっと機械に手にふれるコーナーがほしい。
・静かなBGMがほしい。
・照明良い。
・照明良くない。

(映像展示)
・映像をもっと暗いところで見てみたい。
・映像の音もちゃんと聞きたいので、もう少し音量を上げるか、ヘッドフォンを用意した方がいい。
・映像の展示位置が見にくい、目の高さで見たい。
・映像作品は出来るだけ長いものが見たかった(編集して短くしているものもあった?)。
・モニターの前に椅子があるとGood。<ネスパス会場にはあり。

(平面展示)
・余計なかざりがなくて、作品に集中できるのがよい。
・出力用紙を選べばもっときれいに出ると思います。
・実際にモニター等で見たかった。

(インフォメーション他)
・タイトルプレートがもう少し大きければ見やすい。
・作者のコメント・年令・使用ソフトなどが知りたい。
・どんな物を組み合わせて制作したのか興味があったので、CGのみなのか、写真などを利用したのかの紹介が欲しい。
・展示の順路が示してあるほうがいい。
・葉書の地図はわかりずらかった。
・販売の葉書の種類を増やしてほしい。
・出品作品をCD-ROMにしてもよいと思う。
・セミナーは大変面白かった。
・地方にも来てほしい。
・無料がうれしい。
・作品を出品したいが、団体についての情報が少ないのでどうすればよいかわからない。

(そのほか)
・ソフトを使いこなせる腕自慢? としか感じられない作品もあり、良くも悪くも『デジタル』って何だろう? と考える機会となった。


・デジタルということで、何かメカニカルな側面を強調しすぎているようだ。

・デジタルなのだから、もっとデジタルな物が多いほうがいい。アナログ風にするならアナログでやったほうが印象が強いと思う。

・デジタルを極めると、ある意味アナログになるのだなぁという感じがした。

・デジタルというくくりだと本当に色々で、行く末は遥かかなた、もはやこういうテーマで展覧会が開催し得た事さえなつかしくなることは確実のように思います。これからもっと面白くなるメディアですね。

・毎回2回は見ているが、毎度『この作品ここに前も出てたっけ』と感じる作品が多い。見たその場では目立つのだが、すぐにその存在を忘れてしまう。だからと言って印象に残っている作品が好きかと言われるとそうでもない。同じような傾向の作品が多いからなのか。

・はじめてきたのですが、方向性の違う方達の作品はとても刺激でした。これからもたくさんのカラフルな作品をつくってください。

・おおかた同じソフトで作るならば、テクニカルな作品よりもコンセプチャルな作品の方がメッセージ性は増す。テクニカルな苦しみは制作者の問題である。ならば「がんばりました」という作品より、「君はどう思う?」という作品が好ましい。ネスパス会場の一階はテクニカル、B一階はコンセプトという分かりやすい構成のように思い好感を持つと同時に、明確な一つのコンセプトを持つ作品が少なかったように思う。多分皆さんいいたいことが多いのだろう。またその通りの感じも楽しかった。

・デジタルは人間の素の芸術感覚を阻害するものという思い込みがどこかにあったが、人工的なものも使いようでかっこいいと思った。

・ちょっとモダンな雰囲気過ぎて今いち馴染めなかった。

・今度はあるテーマについての各々の作品が見たい。

・高校生の時から見学会などで毎年見に来ていたので、なんとなく今年も来ちゃいました。何回見ても、やっぱりCGすごいなーキレイだなーてホレボレしています。
・毎年来ているので、たぶん今年もやっているだろうと思い来てみた。

・毎年楽しみにして拝見させてもらっていますが、何か2〜3年前の迫力というか元気が伝わってこないのは何故でしょうか? いい意味で実験集団であるべき形態が、技術集団に固まってきだしてしまったのか。作品の大方がなんらかの亜流であることが容易にわかり、作品からくる作家の意識、こだわりみたいなものが希薄に感じられます。また、個人的に好きでないゲームの世界のキャラや背景っぽい作品も増え過ぎており、狭い世界を感じおもしろくありません。もっとCGの特別な技術としてとらえることなく、広い発想のもとシャレた表現展開、人の暖か味を感じるシカケ、気分よくうなずけるトリックの要素、などうまく言い現せませんが、もっと作品に意志を持たせてほしいものです。どんどん進化増殖するソフト群に圧倒されることなく、がんばって下さい。今回銀座、表参道2つの会場を観せていただきましたが、銀座会場で拝見した富岡聡氏の「SiNK」には大いに感動いたしました。かゆいところに手が届く、気持ちの動揺、心情がわかる表現には思わずフッと笑いが込み上げてきました。

・見に来た人間と作った人とが交流できる工夫があればさらに良い(あるのかも知れませんが)。